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【比較】Amazon Bedrock Agents Classic と Amazon Bedrock AgentCore の違い

概要

Amazon Bedrock Agents(2023年11月提供開始)は、2026年7月30日をもって Amazon Bedrock Agents Classic に改称され、メンテナンスモードに入りました。以降、過去12ヶ月に利用実績のないアカウントは新規エージェントを作成できず、モデルカタログもこの日付で凍結されています。後継は Amazon Bedrock AgentCore です。

かつて両者は「完成品のマネージドサービス(Agents)」と「自作エージェントの運用基盤(AgentCore)」という補完関係として説明できましたが、2026年7月30日以降その前提は変わりました。新規開発の選択肢は AgentCore 一択です。

2026年7月時点の重要な変更

  • 2026-07-30: Bedrock Agents → Agents Classic に改称、メンテナンスモード入り。新機能追加なし・モデルカタログ凍結
  • ただし EOL(提供終了)日は未設定。既存エージェントは通常どおり動作し続け、移行期限もない
  • 2026-06-17: AgentCore Harness が GA。設定ベース(ローコード)で AgentCore を使えるようになり、「AgentCore=コードファースト」は過去の理解に

時系列(何がいつ起きたか)

日付 出来事
2023-11 Amazon Bedrock Agents 提供開始(後の "Classic")
2025-07-16 Bedrock AgentCore プレビュー発表
2025-10-13 AgentCore GA(9リージョン、VPC / PrivateLink / CloudFormation / タグ対応)
2026-06-17 AgentCore Harness GA(設定ベースのマネージドエージェントループ)
2026-07-01 AgentCore ランタイムのデフォルトクォータを最大5倍に引き上げ
2026-07-30 Bedrock Agents → 「Agents Classic」に改称+メンテナンスモード移行

「AgentCore が出たから Classic が終わった」のではなく、AgentCore の GA から約9ヶ月かけて基盤側を整え(Harness GA → クォータ5倍)、受け皿が揃った翌月に Classic を閉じたという順序です。


詳細比較

比較項目 Agents Classic(旧 Bedrock Agents) Amazon Bedrock AgentCore
提供状況 メンテナンスモード(2026-07-30〜)。新機能追加なし。EOL日は未設定 GA(2025-10-13)。以降も機能追加が継続
新規利用 過去12ヶ月に利用実績のあるアカウントのみ。例外申請は不可 誰でも利用可
役割 AIエージェントを構築するマネージドサービス(単一サービス) エージェントの構築・運用基盤(組み合わせ可能な複数サービス群)
開発スタイル 設定ベース(コンソール/APIで宣言) 2通り: ①Harness=設定ベース(AWS推奨) ②code-defined=コードで自作ループ
フレームワーク AWS独自の制御ロジックに固定 非依存。LangGraph・CrewAI・Strands Agents・LlamaIndex・OpenAI Agents SDK・Google ADK・Claude Agent SDK・自作
プロトコル 独自(アクショングループ) MCP / A2A
利用可能モデル Bedrock のみ、かつ 2026-07-30 時点のカタログで凍結 Bedrock 全モデル + OpenAI + Google Gemini + 任意の OpenAI互換エンドポイント。セッション中に切替可
ツール連携 アクショングループ(OpenAPI / 関数スキーマ + Lambda) Gateway が REST API / Lambda / 既存サービスを MCP ツールに変換。既存 MCP サーバへの接続も可
マルチエージェント Supervisor / ルーティングをネイティブ提供 Runtime + 任意フレームワークで自由に構築(Harness 単体は agent-as-tool パターンまで)
実行環境 非公開(選択不可) セッションごとに独立 microVM。独自コンテナイメージ持ち込み可
ID・認可 IAM 実行ロール Identity(Cognito / Okta / Entra ID / Auth0 等と互換)+ Policy(Cedar / 自然言語ルール)
可観測性 Classic 内蔵のトレースUI Observability(OTEL互換・永続トレース)
スケール 同種のクォータ引き上げアナウンスなし 同時セッション 5,000(バージニア北部・オレゴン)/ 2,500(他)
課金(基盤部分) 無料(モデル推論と付随リソースのみ) 従量(Runtime / Memory / Gateway 等)。harness のオーケストレーション課金は無し

AgentCore の構成サービス

Classic は「1つのマネージドサービス」でしたが、AgentCore は単独でも組み合わせでも使えるサービス群です。

サービス 役割
Harness 単一API呼び出しでエージェントを定義・実行するマネージドループ。セッションごとに独立 microVM(ファイルシステム/シェル付き)
Runtime サーバーレス実行環境。高速コールドスタート/長時間非同期/完全セッション分離
Memory 短期(マルチターン)+長期(セッション跨ぎ)記憶。エージェント間で記憶ストア共有可
Gateway API / Lambda / 既存サービスを MCP ツール化。既存 MCP サーバへの接続も可
Identity エージェント用の ID・認可管理。既存 IdP と互換
Code Interpreter 隔離サンドボックスでのコード実行(Python / JS / TS)
Browser クラウド型ブラウザ実行環境(Playwright / BrowserUse 対応)
Observability OTEL 互換の全ステップトレース
Payments x402 プロトコルによるエージェントの少額決済
Evaluations セッション/トレース単位の自動品質評価
Optimization トレースを元にプロンプト・ツール説明を自動改善+A/Bテスト
Policy Cedar または自然言語で書く決定的ガードレール
Registry エージェント/MCPサーバ/ツールの社内カタログ

Classic で「できていたこと」は Harness にほぼ収まります。AgentCore の価値の大半は Identity / Observability / Policy / Registry / Evaluations といった本番運用・ガバナンス層が独立サービスとして手に入る点にあります。

機能マッピング(Classic → AgentCore)

移行時の実際の作業単位はこれです。

Classic の機能 AgentCore での実現方法 難易度
マネージドなオーケストレーションループ Harness が標準提供 🟢 そのまま
アクショングループ(OpenAPI / 関数スキーマ + Lambda) Gateway で MCP ツール化 🟡 再配置が必要
ナレッジベース直付け(RAG) Gateway 経由の KB 統合/コードレベルの retrieval ツール 🟡 配線変更のみ(KB リソース自体は無変更)
トレース UI / API Observability の永続トレース 🟢 むしろ強化
AMAZON.CodeInterpreter AgentCore Code Interpreter 🟢 そのまま
セッション/メモリ設定 AgentCore Memory(Harness では既定で有効) 🟢 そのまま
Guardrails の宣言的アタッチ Bedrock 側 Guardrail + Gateway のポリシー適用 🟡 2段構えに
ステージ別プロンプトオーバーライド(前処理/KB応答生成/後処理) 直接の代替なし。system prompt + 自前スクリプトで再現 🔴 設計変更
AMAZON.UserInput(自動再質問) Harness の inline function tool(return-of-control 相当)。明示的なツール定義が必要 🔴 手当てが必要
マルチエージェントのルーティング agent-as-tool で Supervisor は可能。ルーティング型は現状素直に書けない 🔴 コード実装が必要
カスタムオーケストレータ Runtime に自前コードをデプロイすれば可(Harness では不可) 🔴 code-defined 側へ

🟢🟡 だけの構成(モデル+アクショングループ+KB)なら公式いわく数時間。🔴 が混ざるとコード作業が発生します。


よくある誤解

  • 誤解1:「Agents Classic はもう使えない/すぐ止まる」 — 止まりません。既存エージェントは通常どおり動作し、UpdateAgent / InvokeAgent 等の API も継続利用できます。EOL 日は未設定で、移行期限もありません。制限されるのは CreateAgent と InvokeInlineAgent のみです。

  • 誤解2:「制限されるのは新規に作った AWS アカウントだけ」 — 正しくは「過去12ヶ月に Bedrock Agents 利用実績のないアカウント」です。古いアカウントでも未使用なら不可、新しいアカウントでも実績があれば可。判定はアカウント単位で自動、例外申請プロセスは存在しません。未許可アカウントが CreateAgent を呼ぶと AccessDeniedException(HTTP 403)になります。

  • 誤解3:「AgentCore=コードファーストだから、移行するとコードを書き直しになる」 — 2026年6月17日の Harness GA により、AgentCore 側にも設定ベースの宣言的開発(--model-id / --system-prompt / --tools)が用意されました。AWS 自身が「ループを自分で持つ具体的な理由がない限り harness を使え」と推奨順を明示しています。

  • 誤解4:「AgentCore と Agents は並列の選択肢で、用途に応じて選べばよい」 — 2026年7月30日以前はその理解で正しかったのですが、現在は違います。AWS は公式に Classic からの移行を推奨しており、新規開発の選択肢は AgentCore のみです(唯一の例外は、AgentCore 未提供リージョンで稼働する場合)。

  • 誤解5:「AgentCore は AWS 製フレームワーク(Strands)専用」 — フレームワーク非依存です。Strands Agents SDK は有力な選択肢の一つにすぎず、LangGraph・CrewAI・LlamaIndex・OpenAI Agents SDK・Google ADK などでも利用できます。

  • 誤解6:「Bedrock 全体が終わる」 — 終わりません。Bedrock 本体(モデル推論・Knowledge Bases・Guardrails)は継続して新モデルを受け取ります。凍結されたのは Classic のオーケストレーション層だけです。結果として「Bedrock は最新なのに Agents だけ古い」というねじれが時間とともに拡大します。

  • 誤解7:「Agents はMCPをネイティブに話す」 — Classic の MCP 連携はアクショングループ(Lambda など)を介した間接的なものです。直接的・モジュール化された MCP 連携には AgentCore Gateway が適します。


実務での選び分け

これから新規に作る場合

AgentCore 一択です。その中でどちらのルートを採るかだけを決めます。

ルート 向き
AgentCore Harness(推奨) 大多数のケース。モデル・ツール・指示を宣言するだけ。compute・メモリ・ID・可観測性は AgentCore が面倒を見る
code-defined agents on AgentCore 既存のエージェントコード資産がある/高度なオーケストレーション(ルーティング型マルチエージェント、独自ループ)が必要

すでに Classic を運用している場合

  1. 急ぐ必要はない(EOL 日なし)。ただし新機能は一切来ない
  2. 先に棚卸しする — ①ステージ別プロンプトオーバーライド ②AMAZON.UserInput ③ルーティング型マルチエージェント ④カスタムオーケストレータ。これらを使っていると移行にコード作業が発生する
  3. agent toolkit for AWS の amazon-bedrock スキルを「診断」だけに使う(元エージェントは変更されない)。これだけで工数見積もりが出る

移行の実務

自動移行ツール(公式): agent toolkit for AWS の amazon-bedrock スキルが、既存エージェントの調査 → 移行可否判定 → AgentCore への対応付け → CLI での scaffold・デプロイまでを対話的に誘導します。起動プロンプトは "Help me migrate my Bedrock Agent to AgentCore harness"。各チェックポイントで承認を求め、対応パスのない機能があれば途中で停止して代替案を提示します。

手動移行(CLI):

# 1. 作成
agentcore create --name my-research-agent

# 2. ツール追加(既存アクショングループは Gateway 経由で接続)
agentcore add tool --harness my-research-agent --type agentcore_browser --name browser
agentcore add tool --harness my-research-agent --type agentcore_code_interpreter --name code-interpreter

# 3. モデルとシステムプロンプト
agentcore add harness --name my-research-agent \
  --model-id us.anthropic.claude-sonnet-4-6-20250514-v1:0 \
  --system-prompt "You are a research assistant." \
  --tools agentcore-browser,code-interpreter

# 4. デプロイと実行
agentcore deploy
agentcore invoke --harness my-research-agent --session-id "$(uuidgen)" "..."

Classic 設定からのマッピングは model→--model-id / action groups→Gateway ツール / KBs→Gateway か retrieval ツール / prompt→--system-prompt。所要時間はシンプルな構成で数時間が公式の目安です。


ひとことまとめ

Agents Classic は 2026年7月30日にメンテナンスモード入りし(改称・モデルカタログ凍結・実績のないアカウントは新規作成不可)、後継の AgentCore へ一本化されました。ただし EOL 日はなく既存エージェントは動き続けること、Harness GA により AgentCore でも設定ベース開発ができることの2点を押さえておけば、移行は慌てる話ではありません。


クォータと課金

クォータ(2026-07-01 引き上げ)

項目 旧 新
同時アクティブセッション(バージニア北部 / オレゴン) 1,000 5,000
同時アクティブセッション(その他リージョン) 500 2,500
InvokeAgentRuntime レート 25 TPS 200 TPS(エージェント×アカウント単位)
新規セッション作成レート(コンテナデプロイ) 100 TPM 400 TPM/エンドポイント

全アカウントに自動適用され、申請は不要です。ただしクォータのさらなる引き上げ申請は依然サポートチケット経由で日〜週単位を要し、またエージェントセッションはステートフルなため、スロットリング時は中間コンテキストが失われます。枠が5倍になっても、設計上のバックプレッシャ対策は必要です。

課金(AgentCore・主要項目)

項目 単価
Runtime / Browser / Code Interpreter $0.0895 / vCPU時間、$0.00945 / GB時間(最小128MB、I/O待機時間は非課金)
Gateway API呼び出し $0.005/1,000回、検索API $0.025/1,000回、ツールインデックス $0.02/100ツール/月
Memory 短期 $0.25/1,000イベント、長期(組込戦略)$0.75/1,000レコード/月、検索 $0.50/1,000回
Identity $0.010/1,000リクエスト(Runtime / Gateway 経由は無料)
Web Search $7.00/1,000クエリ
Policy 認可 $0.000025/リクエスト、トークン処理 $0.13/1,000トークン

「Classic は無料、AgentCore は有料」ではなく、Classic は課金対象のインフラを持っていなかっただけです。AWS は「harness の内部プロンプトは Classic より効率的なため、モデル推論費用は同等かむしろ下がる可能性がある」と述べています。総額は「インフラ従量が乗る分 − 推論トークンが減る分」で案件ごとに試算が必要です。積み上がりやすいのは Memory 長期記憶と Web Search です。


MCP連携方式の詳細(間接的 vs 直接的)

MCP(Model Context Protocol)は、エージェントがツール(API)と対話するための仕様です。この連携方法が「間接的」か「直接的」かは、「誰が MCP という専門用語を話せるか」で考えると分かりやすいです。

間接的な連携(通訳を介したコミュニケーション)

Agents Classic はこの方式です。エージェント自身は MCP を話さず、仲介役(アクショングループの Lambda など)が翻訳します。

  • 役割分担:
    • Agent: MCP を知らない。通常の API リクエストで指示を出す
    • 通訳(Lambda関数など): Agent からのリクエストを MCP に翻訳し、ツールに伝える
    • ツール: MCP で指示を受け取る専門家
  • 処理の流れ: Agent → (通常のAPI呼び出し) → [Lambda関数(ここでMCPに変換)] → (MCPでの呼び出し) → MCP対応ツール

直接的な連携(当事者同士のコミュニケーション)

AgentCore Gateway を使うと、既存の API や Lambda を最小限のコードで MCP 互換ツールへ変換でき、エージェントが MCP で直接ツールと対話できます。

  • 処理の流れ: エージェント → (MCPでの呼び出し) → AgentCore Gateway 経由のMCP互換ツール
  • ポイント: エージェント自身が MCP を理解し、通訳なしで直接ツールと通信します。Salesforce・Zoom・JIRA・Slack 等の既存 MCP サーバへの接続も可能です。

補足: Strands Agents SDK とは?

Strands Agents SDK は、AWS が提供する AIエージェントを自作するためのオープンソースの SDK です。

  • 役割: エージェントの振る舞いやオーケストレーションのロジックを自由にコーディングするためのツール
  • 特徴: オープンソースで高い柔軟性を持ち、MCP プロトコルを扱う機能を標準で備える
  • AgentCore との関係: AgentCore 上で動かすカスタムエージェントを作るための有力な選択肢の一つです(AgentCore はフレームワーク非依存のため、LangGraph や CrewAI など他のフレームワークでも構いません)。Strands 等でエージェントの頭脳(ロジック)を作り、AgentCore という基盤(実行・記憶・ID・ツール接続)に乗せる形になります。

出典・参考